2011年7月22日金曜日
騙す人間~騙される人間
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騙される人間であっても、騙す人間にはなりたくない・・・。
でも騙されたら悔しくて・・・。なんて勝手な感情なんだろうと思う時があります。
実の父が亡くなったのは今からもう34年前の事ですが・・・。今だに悔しいと思いだします。
体格はとてもがっしりしているのに、気が小さく、とても自分の体の弱いのを知っていた父は
しょっちゅう病院に行っては薬を飲んでいるような人でした。
それがある日から、ぱったり病院に行こうとしなくなってしまったのです。
体中が黄色くなってきて明らかに黄疸が出始めていたころの事。
同業者の知り合いから病気が治るから来てみたら・・・と誘われて・・・。
しかし、宗教団体的なことの大嫌いな父がそう簡単には行く事はなく・・・。
まずは私と母がためにし行かされました。
手からのパワーで病気が治ると言うのです。もちろん私も母も半信半疑です。
そういった類の団体は多く、決して否定するつもりはありません。
信じていれば、救われると言う心理には、少なかれ当てはまる事もあるかとは思うからです。
しかし、その団体は、それですべての病気が治ると言うのです。
自分で確かめると言った父が・・・。病院に行くのを拒否してしまうまでになり・・・。
誰が見ても病気と分かる黄疸の出方に無理やり父を病院に連れていった時には・・・。
即入院、即手術です。胆のう癌で黄疸が体中に回っていたからです。
病院には、連日2~3人の信者が入れ替わり立ち替わりあらわれては廊下で父にパワーを送る
とかで手をかざしていました。母は恥ずかしいから帰ってくれと悲願しても、遠くからやっている
のです。何ともすごい人達だとよく覚えています。
悪い事は重なるものです。2度の手術のミスで切ってはいけない血管を切られて・・・。
初めのうちは病気のせいと・・・騙されていました。口から下から出血しているにも関わらず・・・。
私がそれを知ったのは、亡くなって病院を出てから・・・10年も経ってからでした。
何も分からなかった母が病院から父と帰る時、病院から当時で30万円ものお金をもらっていた
のです。そして「すみませんでした。」と言葉を添えられて・・・。
亡くなった当時、母はショックで自分が半狂乱になったぐらいでしたので、考える余地もなかった
のでしょう。今なら訴訟問題にしてもおかしくないでしょうが・・・当時は情報もなく、私もまだ子供
でしたからそんな状況も分かるはずもなく・・・。泣き寝入りでした。
病院に行かなくても、パワーで治せると信じてしまった父が、何とも情けなく思うのです。
昔の「頑固おやじ!」そのままの人で、聞く耳を持たなかった人だけに・・・。
騙された父が、何とも滑稽に思えて、仕方ありませんでした。
きっと自分はもう長くないかもと・・・少し弱気になっていたのかも知れません。
そんな弱気の気持ちに、ふっとつけ込まれた心情だったのでしょうか?
今年、亡くなった父と同じ年になった私・・・。
人生はそんなものかと少し父を理解できてきた今日この頃です。
でもやっぱり本当は騙されたくもないけれど・・・・。
どちらかであれば、騙される人間であっても、騙すほうの人間にはなりたくないと、今も思うのです。
人の人生をも変えてしまうような、騙し方だけは、しない方がいいと思うのです。
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